私が歯科大学に入学した年、大阪の消費者団体によって「歯の110番(歯科医療告発運動)」が起こり、歯科医の“悪徳”キャンペーンが全国に広まったことは大変なショックでした。
また、医師に治療を受けたことが結果的に新しい病気を作る「医原病(医原性疾患)」という話題が大きな社会問題となっていました。私は、「医原病を作らないようにしたい、上手な歯医者になりたい」という思いから、大学卒業後から現在に至るまで、臨床に即した研修の場に積極的に参加し、自己研鑽に励んできました。その際、心療内科で有名な池見酉次郎先生から聞いたアドバイスに従って、心やストレスの問題も含め、ひとつの考え方にとらわれず、「多方向からの勉強」を心がけてきました。
たとえば、歯周病(歯槽膿漏)を重点的に勉強した84年〜86年には、臨床の大家である片山恒夫・森克栄両先生のセミナーを交互に受講しましたが、歯周治療学としては対照的な立場をとる両権威のお話を同時期に聞いて、その共通する部分に大いに感銘を受け、歯科医師としての一つの転機になったように思います。
片山先生の「歯科医療を生活改善のきっかけに」という主張と、森先生の「誠実で良心的な治療(bona fide therapy)」という言葉は、以後、私の“診療目標”となりました。
片山セミナーで紹介された「食生活と身体の退化(W.A.PRICE著;片山恒夫訳)」という本を読んで、食生活の重要性を痛感し、医学や歯科医学ばかりでなく、栄養学や食育などについても多くの時間を割いて勉強してきました。
こうした勉強がただの知識にならないよう、日常臨床で活用していきたいと心がけています。
1955年9月、高知市に生まれる。81年、福岡県立九州歯科大学卒業後、小児・矯正歯科主体の開業医にて研鑽。83年、矯正研修会の縁で調布市のイチカワ歯科に勤務。86年、調布市国領町にてウエダ歯科を開業、95年、調布駅前に診療所を移転、今日に至る。 82年SEC(歯内療法)受講、同コースのアシスタントを経て、86年まで指導医として参加。82年BIFOR(ブロッサード国際矯正研究財団)東京Bグループに入会、85年東京ブロッサード矯正研究会発足に当たり中心メンバーとして活躍。83年藤本補綴臨床研究会・86年DRI(デンタルリサーチインターナショナル)・97年丸茂研修会・98年日本構造医学協会などの通年コースに参加。87年チューリッヒ大学・マインツ大学などを視察。88年ニューヨークのガスタブデュラーの総義歯セミナー・FS総義歯研究会に参加。90年フロリダ州Dr.ピータードーソンのアドバンスセミナー受講。その他参加研修会・学会多数。