歯周病治療

歯周病は、むし歯と並ぶ二大疾患

歯周病

●重症になると歯を失う可能性があります

歯を支える歯肉や歯槽骨に起こる病気を歯周病といいます。昔は歯槽膿漏と呼ばれ、放置すると歯が抜けてしまう病気とされていました。むし歯と並ぶ「歯の二大疾患」とされ、多くの人が患っている病気ですが、近年まで原因や治療法がはっきりわからないままでした。

また、現在でも治療法が確立しているとはいえないため、歯科医師によって診断や治療法が異なります。重症になると歯槽骨が溶け、歯を失う原因に。さらには、歯周病菌が血液を介して体のほかの重要臓器に達すると、さまざまな病気を引き起こす要因となることがわかっています。

メスを入れない歯周病治療

歯周病●プラークコントロールが重要

歯周病の治療は、99%がプラークコントロールといっても過言ではありません。そのため、歯医者にかかったからといって、それだけで治る病気ではなく、逆に、正しい歯みがきを実践できれば、それだけでもかなり改善することが可能な病気でもあります。

プラークコントロールは、予防のためだけに行うものではなく、歯周病治療の主役でもあるのです。治療法の中には、GTR法やエムドゲインといった歯周組織の再生療法もありますが、こういった方法も、プラークコントロールが不十分だと良い結果は得られません。

プラークコントロール(細菌との共存)

1.患者さん自身が行うプラークコントロール

歯周病

1日に1回、柔らかい歯ブラシで歯の汚れをていねいに除去します。歯磨剤などは何もつけずにブラッシングし、ブラッシングの刺激で分泌される唾液は、吐き出さずに嚥下します。また、加糖飲料や甘い物などは控えて、砂糖や糖類の摂取を抑えることもプラークコントロールです。

2.歯科医院で行うプラークコントロール

患者さんがご自宅で行うプラークコントロールを指導し、足りないところを補うことが主な目的です。また、歯の詰め物や被せ物がズレたり欠けたりして、そこに汚れが溜まりやすくなっているようなケースでは、それらをきちんと修正することも、歯科医によるプラークコントロールの一環です。

歯石は、有害なプラークを固めて閉じ込めようとした生体反応の結果であり、それ自体に害はないことが、多くの論文で発表されています。ただし、歯石が付くということは、固めて閉じ込める必要があるほど有害なプラークが存在していた証拠なので、歯石の表面は、しっかり磨く必要があります。

歯石を取ってしまうと、それで治療が済んだと勘違いされ、プラークコントロールを続ける必要性を忘れがちになることから、当院では、基本的に歯石をすぐには取りません。除去するとしたら、患者さんのプラークコントロール技術が上達し、歯石表面のプラークがなくなったときです。

力のコントロール

インプラント●歯周病治療の残りの1%は力のコントロール

歯周病治療の99%はプラークコントロールとご説明しました。それでは、残りの1%は何でしょうか。それが「歯にかかる力のコントロール」です。

局所の免疫を低下させ、歯周病を悪化させる大きな原因の一つが、歯にかかる噛み合わせの異常な力だと考えています。この、歯にかかる異常な力をコントロールすることで、歯周病の悪化を防ぐことができると考えます。

1.咬合調整

噛み合わせのバランスが崩れ、特定の歯が強くぶつかっている場合、バランスを取るために噛み合わせ面を少し削ったり、足りないところに足したりします。

2.スプリント(連結固定)

歯周病が進行して、単独の歯では動揺(グラつき)が大きく、食べ物を噛むといった機能が果たせない場合、何本かの歯をつなぐことで機能するようにします。治療期間中は、歯周組織の回復に従って歯が移動しますので、その動きを妨げないよう仮連結し、何度も調整します。

歯周病の初期治療が終了し、診断の結果、永久的なスプリントが必要だと判断した場合には、歯の裏側から接着剤で止める方法や、ピンレッジという小さな金属の詰め物で連結する方法、被せ物で連結する方法など、さまざまな方法の中から最適と思われるものを選択します。

※顎関節症治療などで用いられるオクルーザルガードやナイトガードもスプリントと呼ばれていますが、それとは異なります(いろいろなタイプのものを勉強しましたが、ウエダ歯科では、このようなスプリントは使用しません)。

一般的な歯周病治療

スケーリング・ルートプレーニング

治療

歯石を取って、歯や歯根の周りをきれいにします。歯ぐきの下の歯石(歯肉縁下歯石)は、プラークコントロールができていればほとんど問題を起こさないので、無理のない範囲で必要最小限の除去を行い、経過観察します。

※ただし、歯肉縁下歯石は、長期的に問題を起こさないものと、いつまでもBOPが改善しないものがあるようなので、経過の悪い縁下歯石は、その時点で可能な限り除去します。

歯周病手術

歯ぐきを切開して、根の周りについた頑固なプラークや歯石を取る手術です。手術は滅多に行いませんが、行うときはウィドマン改良法を用いるのが通常で、必要があればGTR法やエムドゲインも行います。

また、歯周病だけでなく、歯ぐきの下まで進んだむし歯の治療のために手術するケースや、プラークコントロールしやすいように歯肉や小帯の整形手術をすることもあります。

いずれにしても、歯ぐきの手術は、プラークのコントロールができていなかったり、術後管理が悪いと経過不良を引き起こす恐れがあります。逆にプラークコントロールができていれば、手術自体の必要性が生じないことが多いようです。

原因と予防について

●歯周病の主な原因は細菌

歯周病は、口の中に常在する細菌が歯の表面に長く堆積し、細菌の作る菌体外毒素によって歯肉に炎症が起こり、放置すると歯の周りの骨が溶けてしまう病気です。細菌が要因であることは明確なのですが、そのほかのさまざまな要素が複合的に働くことで発病すると考えられています。

1.細菌

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歯周病は細菌が起こす病気です。宿主の局所免疫が低下すると、普段は病原性を持たない細菌が異常増殖し、発病に至ります。

歯周病の原因菌として、多種類の細菌が挙げられていますが、口腔内常在細菌が複合的に関係しているため、特定の細菌というより、プラーク(歯垢・細菌苔)全体と考えたほうがわかりやすいでしょう。ブラッシングなどによってプラークを成熟させないようにすることが、予防につながります。

●生まれる前から予防が必要なことも…

人の体内の常在細菌の種類は、歯が萌出する時期に接触していた人からの感染をベースとして決まります。若いうちから歯周病に悩まされている方は、若年性歯周炎の原因菌に感染している可能性があり、親から子へと感染させる危険性があるため、お子さんが生まれる前にきちんと治療しておく必要があります。

2.時間要素

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歯周病はむし歯と異なり、原因物質が付着したからといって直ちに発症するわけではありません。歯に細菌の巣(プラーク)が付着したあと、そのままの状態で一定時間(48〜72時間)経過すると歯肉炎が発生します。ですので、48時間ごとにプラークを除去すれば、歯肉炎は発生しないことがわかっています。

時間の経過とともにプラークが成熟し、細菌の棲み分けができて歯周病の起炎物質がたまり、歯肉炎が発症すると考えられています。しかし、体の免疫力の低下といった別要因が作用しなければ、骨の吸収などの悪化までには至らず、ずっと平衡状態が続きます。

そして、体の免疫力の低下などの別要因が重なってしまった場合に、局所的に爆発的な歯周病の進行が起こります。こういった発病時間の積み重ねによって、歯周病が進行していくと考えられています。

●歯の表面をきれいにしておくことが大切

成熟し、細菌の棲み分けができたプラークは、バイオフィルムと呼ばれます。バイオフィルムが形成されると、抗生物質や唾液中の抗菌物質が浸透しなくなるため、歯ブラシや専用の器具など、物理的・機械的な方法で擦り落とすしか除去する方法がなくなります(一般の洗口剤は効きません)。

こういったことから、歯に付着した細菌の集落(プラーク)を、歯の表面から洗い落とす作業(プラークコントロール)は、最低24時間に1回行うことが目安です。常に歯の表面をきれいな状態に保ち、バイオフィルムの形成を防ぐことが、歯周病予防のために重要な処置なのです。

3.個人の歯の条件や全身の健康状態

全身の健康状態・免疫力の状態が、歯周病の進行に大きくかかわります。全身の健康状態が良い人の中には、さほど歯みがきに気を使わなくても歯周病にかからない人がいますが、そういう人ほど、いったん問題が起きると急激に悪化することがあるので注意が必要です。

●生活習慣を見直す

喫煙は歯周病を悪化させやすいと強調する歯科医師もいます。喫煙は、歯周病のリスク要因であるのみならず、伏流煙などで周囲に悪影響も与えるので、控えたほうがよいでしょう。

また、糖尿病などの全身疾患や睡眠不足、過労なども歯周病のリスク要因です。いつもイライラしていると、交感神経の作用で唾液の分泌が減少するため、歯周病菌が増殖しやすくなります。できるだけリラックスして生活を送るほうが、歯周病予防にもよいのです。

さらには、姿勢や噛み合わせの変化などがあると、個々の歯にかかる力が変わり、歯周病が進行するケースがあります。正しい姿勢でいることや、体をほぐしたり、ウォーキングしたりすることは、歯周病予防にもつながります。

歯並び不良があるとプラークが堆積しやすく、プラークコントロールも難しくなるので、歯並び不良もリスク要因と考えられており、場合によっては矯正治療が推奨されます。

4.食品・食事の仕方

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砂糖などの糖分を含んだ食品を摂取すると、ミュータンス菌が作るネバネバ(不溶性グルカン)によってプラークが取りににくくなり、細菌が歯に永く付着します。また、ブラッシングにかける時間も通常の倍以上が必要となります。

さらに、ジャンクフードなどの軟らかくて高カロリーなもの、ジュース・お菓子・缶コーヒーなど、糖類が多い上にあまり噛まなくても食べられてしまうものは、歯を汚れやすくするばかりでなく、噛む刺激が歯周組織に正しく伝わらないことから、歯周組織の抵抗力を弱めてしまいます。

●砂糖の摂取量を抑え、よく噛む食生活を

砂糖の摂取を減らすことはもちろんのこと、よく噛んで食べることも歯周病の予防につながります。緑黄色野菜や根菜など、繊維質が多く、局所免疫を高めるビタミン類が豊富なものを、ゆっくりよく噛んで食べることが、歯周病を予防するための食生活と言えるでしょう。

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